マフラー

ハーレーの大きな楽しみの一つはVツインの鼓動と音。他のバイクでは味わえない音はライダーにとって超重要。
マフラーの種類の多さも大きな魅力。
デザインと音を好みに合わせて選べる。

ノーマルのマフラーでは走行中には音がほとんど聞こえないのでマフラーを交換している人も多い。 以前は車検に適合する JMCA(全国二輪車用品連合会)対応のマフラーを選ぶか、あきらめて車検時に交換して戻すかだったが、そもそもJMCA対応のマフラーは数少なく、自分のハーレーに適合する物は無いという人も多かった。それに音が気に入らなければ交換する意味がない。

車検は2年に1度来てしまうので、その度に手間取るのも面倒。
マフラーの車検対応は実は年式で大きく異なる。

保安基準について

車検時には”保安基準“に適合するかが検査官に見られる。
マフラーの保安基準は「騒音規制」「排ガス規制」の2つがあり、年式によりその基準が異なる。だんだん厳しくなってきたのだ。
最近のハーレーではマフラーやエキパイの中に触媒が入って排ガスをキレイにしたり、O2センサーがマフラー1本につき2本装着されたりと、メーカーもその対応に苦慮している。

年式と保安基準

まずは年式(バイクの製造年式)により規制の基準が異なるので、自分の車両の年式を確認しよう。製造年式は車検証の登録年式とは異なるかも知れない。車体番号で確認しよう。
フレームのダウンチューブに刻印のある車体番号(車検証にも記載あり)からハーレーの製造年式を確認できる。10桁目が製造年式になっている(”7”ならば2007年。9の次はA(2010年式を示す)。2020年式ならば”K”と刻印される。右の場合は、“B”なので2011年式。

マフラーの音量測定

バイクのマフラーの音量測定には以下の3種類がある。

  1. ① 定常走行騒音
    「最高出力の60%の回転数で走行した速度で発生する騒音を7.5m離れた場所で測定。」
  2. ② 加速走行騒音
    「定常走行状態からスロットルを全開にして10m走行した時点で発生する騒音を7.5m離れた場所から測定。」
  3. ③ 近接排気騒音
    「停車状態で、最高出力回転数の75%(最高出力回転数が5000回転以上の場合は50%)の回転数で発生する騒音をマフラー後方で測定。」

この中で最も重要なのが、 ③ の近接排気騒音。
車検時に行われる騒音検査はこれのみ。
検査官が必要と判断すれば測定される。
定常走行や加速走行での測定値は、メーカーやパーツメーカーが商品の型式を取得する時に必要。
したがって JMCAやEURO(4とか5とか)取得のマフラーはこれらの検査に合格していると見なされる。

近接排気騒音は右図のようにマフラーの排気口から、斜め45度・50センチの位置で騒音計で測定する。

スマホの騒音計アプリもあり

車検場での騒音の計測には騒音計を使用されるが、スマホのアプリ(無料 ※一部有料課金のアプリもあるので要注意)がいくつか出ているので、簡単に近接排気騒音の計測ができる。アプリにより表示に若干誤差があり、あくまで目途だが個人で事前に計測が可能。
(右図は音量測定器SoundMasterというアプリ。下に音量の推移が表示されるので判りやすい。較正も可能なので、音量計と一緒に調整すれば正確な値に近づく。ただし広告が表示される。)

年式別騒音規制値

車検が必要となる250cc以上のバイクの近接騒音規制値は以下のとおりで、年式により異なる。2014年以降は一律の音量ではなくなった。

規制年規制値その他
1985年以前なし
1986年騒音規制99dB
2001年騒音規制
(2001年10月1日以降製造のバイク)
94dB
2010年”社外マフラー規制”が追加
脱着可能なバッフルは禁止
加速騒音82dbまで(JMCAが基準)
2014年騒音規制
(2014年4月以降以降製造のバイク)
バイクの型式ごとの規制値
(車検証備考や車体ラベル)
経年劣化を考慮し規制値+5dB
(型式の値が90dBならば95dB)
2016年10月証明機関による騒音性能表示等が義務
・JMCAマーク付き
または
・Eマーク(EURO)付き

社外マフラーの場合、車検場ではこの規制値を超えないか、そしてJMCAかEUROに適合しているかが見られる(特に2016年以降の年式。最終的には検査官が判断する)。

EURO適合マフラー

2016年以降はJMCAもしくはEuro 4/5 に対応が車検適合の基準になってきた。
どちらかに適合していれば、型式認定の段階で定常走行騒音と加速走行騒音にパスしており、車検時は近接騒音のみ計測するか検査官が判断する。
EuroもしくはJMCAに適合のマフラーは基本的に近接騒音にパスするレベルであり(シビアな加速騒音規制にパスしているので)、車検にもパスするはずである。
もちろん、車検時には検査官に適合のマフラーである事を伝えるべきである。

EURO適合マフラーには写真のような刻印が入っている。




Euro4適合マフラーの刻印例

バイクのマフラーの排ガス規制

騒音だけでなく、排ガスも車検では問題になる。
ただし、1999年以前のバイクの場合は、排ガス規制はなし。

規制対象でマフラーを交換している場合は、ノーマルでキャタライザー(触媒)を装着しているかどうかで扱いが変わってくる。

  1. ① ノーマル時にキャタライザー(触媒)なしの車種
    排ガスについて気にしなくて大丈夫
  2. ② ノーマル時にキャタライザー(触媒)付きの車種
    触媒を残してマフラーを交換した場合(スリップオン等)は問題ないが、触媒入りのエキパイを交換してある場合は戻さないと車検に合格しない。

EURO 3 と EURO 4 /5 の違いとは?

日本では騒音の方が問題とされるが、海外やメーカーではむしろ排ガスが問題となっている。
国際規格のEUROを日本も採用しているが、EUROの規制は 3 -> 4 -> 5 と、その内容がどんどん厳しくなっている。しかし、騒音規制が強化されているわけではなく、排ガスが規制強化されている。
製造するメーカーには相当厳しい内容で、ハーレーが空冷のスポーツスターをあきらめた大きな原因となった。

車検が心配な場合

古くなった車両ではグラスウールが劣化したりガスケットからガス漏れが発生している可能性もゼロでは無い。
車検場の近くにある民間の“予備検査場”にいけば1~2000円位で排ガス検査と排気音量の検査をしてもらえるので、車検の前に心配になったら行ってみよう。