エンジンオイルの粘度シングルグレードとマルチグレード

ハーレーにはマルチグレードのエンジンオイルが使用されています。
マルチグレードとは幅広い温度で粘度が安定しているエンジンオイル。なぜ粘度が重要かというと、さらさら過ぎるオイルでは潤滑能力が低く、逆に粘度の高すぎるオイルではオイルポンプや動作部の抵抗になってしまうから。
オイルは冷えている時もエンジンが熱い時も適切な粘度である事が重要です。

マルチグレード・エンジンオイル

マルチグレードオイルは、記号の「W」の左側で低温時の粘度、右側で高温時の粘度を表します。
低温から高温まで、適切な粘度を維持するのが特徴。

左側の数字が小さいほど、低温時でもオイルが硬くなりにくく、日本では10以上で十分。
一方、右側の数字が大きいほど、高温時でも粘度が落ちにくく、夏の暑い時期や熱がこもりやすいエンジンに適しています。
ハーレー用マルチグレードオイルには、10W40、20W50、20W60などの種類があります。
右側の数字が大きくなるほど、高温時でも粘度性能が維持される。

乗用車では0W30のような柔らかめのオイルもありますが、空冷の大排気量ハーレーでは、通常20W50がよく使われ、同じ20W50でも通常のオイルと100％化学合成のSYN3オイルを比べると、SYN3の方が幅広い温度で粘度が安定しているのも特徴です。
冬場は冷え込みに対応して10W40、真夏の高温時は20W60が適しています。

シングルグレード・エンジンオイル

ハーレーの旧車では、シングルグレードの50番や60番のオイルがよく使用されます。
シングルグレードは低温・高温問わず特性があまり変わらず、常にやや硬めのオイル。

旧車のエンジンは現代モデルよりクリアランスが大きめであるため、硬めのオイルが適しており、そのためシングルグレードのオイルが選ばれることが多いのです。真夏など高温時には、60番や50番のシングルグレードオイルが適する場合もあります。
しかし、頻繁なオイル交換は手間がかかるため、年間を通してマルチグレードオイルを使用するライダーが多いのが実情。
他にも対策として、オイルクーラーを装備すれば、走行風によってエンジンオイルを冷却でき、エンジン全体の温度上昇も抑えられます。
ファン付きのオイルクーラーなら、渋滞時でも冷却が可能です。
エンジンオイルは粘度だけでなく、劣化特性や放熱性、潤滑性などの品質も非常に重要です。