ハーレーの旧車エンジン

FLAT HEAD(フラットヘッド)エンジン

1929~1956と27年間ものあいだ現役だったエンジン。
サイドバルブ方式で、吸排気のバルブはシリンダーの横にあり、下側のプッシュロッドで開閉する。シリンダーヘッドを開けるとシリンダーとバルブとピストンがすべてほぼフラットになる事からこの名前が付いた。


フラットヘッドエンジンのシリンダー(左)をみるとシリンダーの横に吸排気のポートがある。
バルブは通常のエンジンとは逆で上向きになり下から押す形になり、シンプルな構造のエンジン。シンプルなのでメカノイズが少ないという利点があった。吸排気の流れはシリンダーヘッドを通し、長くなる事から圧縮比を上げにくいという欠点がある。


VLモデル(排気量1200cc, 1930~1940)

のちに日本で生産された「陸王」の原型となったモデル。
カムシャフトが前後シリンダーの各バルブで独立した4カムとなり、現在のスポーツスターに続く設計の基礎となった。

操作も特徴があり、左足ペダルでクラッチ、タンク横のレバーでハンドシフトする。
アクセルは手動で、戻す時も手で戻す。


WLモデル(排気量750cc, 1937~1952)

排気量が750ccと比較的小さかった事からベビーツインと呼ばれた。
性能は高オクタン仕様で20ps/4000rpm。

市販モデルのWLの他に軍用のWLA、レーシングマシンWR/WLDRなど が存在した。

今見ても造形美を感じるデザインは流石。


Kモデル(排気量744cc, 1952~1956)

現在のスポーツスターの原型となったフラットヘッドエンジン。
クランクケースの形状や4カムの一体式エンジンが現在のスポーツスターのデザインに続く。

KNUCKLE HEAD(ナックルヘッド)エンジン

ハーレーの量産車で初めてOHV(オーバーヘッドバルブ)方式を採用した。 (排気量1000cc/1200cc,  1936~47年)

エンジンの上部のロッカーカバーがナックル(げんこつ)に似ている事から“ナックルヘッド”の名称が付いたエンジン。こういったセンスは流石アメリカ。
ナックルヘッド・エンジンは当初「水冷のような空冷エンジンを」という目標を掲げて完成させたエンジンで、新しいメカニズムに夢を託したモデルだった。

 

 

ナックルヘッドエンジンを使用したハーレーダビッドソン(写真はELナックルヘッド 1936年式)

今見ても惚れ惚れするようなデザイン。状態の良い車両は超高価で取引されている。

PAN HEAD(パンヘッド)エンジン

ナックルヘッドエンジンを改良して1948年に登場したパンヘッド・エンジン。

ナックル・ヘッドは優れたエンジンとして名を馳せたが、オイル漏れやオーバーヒート、そして故障しやすいという不満があった。それを改善する為に開発されたのがこの『パンヘッド』。
シリンダーヘッドがアルミに変わったことで、オーバーヒートに対する信頼性は大きく向上した。